親であれば誰だって、「子どもの幸せ」を願うもの。
だからこそ「勉強しなさい!」「しっかりしなさい!」と、ついガミガミ言ってしまうものです。
ところが、幸せで豊かな人生をおくるには、「学力よりも大切なことがある」という事がさまざまな研究でわかっています。
これは、心理学・脳科学・医学でも、ほぼ同じ結論。
今回は、幸せな人に育てる「上手な子育て」のコツをご紹介させていただきます。
幸せな人の共通点とは?
幸せな人生をおくっている人には「ある1つの共通点がある」ということが、たくさんの研究で判っています。
その中でも、ハーバードメン研究が一番わかりやすいと思いますので、ご紹介させてください。
ハーバードメン研究とは
ハーバードメン研究とは…
1938年からはじまった、ハーバード大学の在学生たちが亡くなるまで追跡調査しつづける、という大規模研究。
・幸福で豊かな人生を手に入れている上位10%の人たち
・反対に、幸せとは程遠い下位10%の人たち
「両者の違いは何なのか?」を調査した結果…
研究の中心人物である心理学者バイヤンさんは、こう言います。
「その違いは、愛の一言に尽きる」
『愛』と聞くと、なんだか「きれいごと」に感じてしまいますが、決してそんな事はなかったのです。
夫婦・家族・同僚・友達などと、良好な人間関係ができている人ほど…
幸せで、感情が安定していて、健康で、収入が高いという傾向がとても強かったそうです。
これ、わかる気がしますよね!
●嫌いな人と食べる豪華料理より、好きな人と食べるおにぎりのほうが、ずっと美味しいし幸せを感じるものです
●嫌いな人と旅行に行くくらいなら、好きな人と仕事をしていたほうが楽しいし、好きな人となら仕事もはかどります
●人間関係でストレスが溜まると、ストレス解消のためにお金と時間が必要だけど、ストレスが少なければ時間を有効活用できます
つまり、幸せな人生を送っている人の共通点は、「良好な人間関係」。
もちろんこれは、「友達100人作りましょう」という話ではなくて…
大切なのは、量より質。
大切な人を大切にして、その人たちからも愛される状態。
好きな人たちに囲まれて生活することで、幸福になり、健康になり、仕事の成績まで上がるといううわけです。
我が子を「良好な人間関係を築ける人」に育てるには
我が子を、「良好な人間関係を築ける人」に育てるには、どうしたらいいのでしょうか?
その答えは、ズバリ…
「人を愛する能力」を伸ばしてあげる
どんなに社交的でも…
身勝手な人が、思いやりのある人たちに囲まれることは、絶対ありえないですからね。
良好な人間関係をつくるには、人を愛する能力が必要なのです。
人を愛する能力とは何か?
では、人を愛する能力とは何か?
脳の「AVP受容体」が大きく関係している、ということが判ってきています。
難しい話はぬきにして、脳の中に「AVP受容体」という部品がたくさんある。
●その部品が多い人は、誠実で責任感がある
●部品が極端に少ない人は、身勝手で無責任
たとえば、ABP受容体が少ない男性は離婚率が高く、結婚していても奥さんの不満が多いという統計もあります。
では、AVP受容体を増やすには、どうしたらいいのでしょうか?
残念ですが、生まれつきだから変えられないんです。増やせないんです。
でも、安心してください!
もう1つだけ方法があるんです。とっておきの方法が!
オキシトシンが愛を育てる
その、もう1つの方法とは「オキシトシン」。
今回の記事の主役です。
オキシトシンは別名…
- 愛のホルモン
- 絆のホルモン
- 幸福ホルモン
体内のオキシトシン濃度が上がると…
- 人間好きになる
- 対人不安が減る
- 親切になる
- 共感力が上がる
つまり、人を愛する能力が上がる。
思いやりがあって誠実で、みんなから愛されるような性格になる。
その結果、良好な人間関係をつくれるようになる。
幸せな人になる、幸せな人生になる、というわけです。
子どものオキシトシンを分泌するには
というわけで、ここからは…
子どものオキシトシンを分泌する代表的な方法を、4つご紹介させていただきます。
①スキンシップ
肌のふれあいによって、オキシトシンが分泌されます。
さりげなく肩に手をかけたり、背中を触ったり。
お風呂に一緒に入ったり、川の字になって寝るというのもいいですね。
そしてもう1つ、とっておきの方法があるんです!
ソニーの創業者・井深さんは、教育研究でも有名なかた。
その井深さんが提唱する方法が…
朝の出がけに、8秒間抱きしめる
「1.2.3.4.5.6.7.8、いってらっしゃーい!」と。
これ、うちの妻もやっていますが、ちょっと恥ずかしいから背中から抱きしめてます。
実は、うちには双子の息子がいるのですが…
1歳半検診のときに「二人とも自閉症ですよ。人付き合いができないから結婚もできませんよ」と診断されたんです。
それから、「8秒間抱きしめる」を少しずつはじめて、6年生になった今も続けています。
それで今では、至って普通の男の子。ごく普通の6年生に育っています。自閉症のかけらもありません。
きっと効果があったんじゃないかな~、と思っています。
②心温まる映画
ドラえもんや、クレヨンしんちゃんの映画をみて、「お母さんまで泣いちゃった」ということもあると思います。
胸がジーンとなる感覚、グッとくる感覚。あれがオキシトシン。
そういう映画はすごくいいと思います。
ほかにも、心温まる歌や絵本もいいですね。
③動物とふれあう
動物とのスキンシップでも、オキシトシンは分泌されます。
ペットを飼うとか、ときどき子供動物園に行くとか、そういうのは凄くいいですね。
あとは、かわいいぬいぐるみでもOKです。
④親切
人に親切にすると、心がホッコリ温かくなりますが、あれがオキシトシン。
でも、子どもに対して「親切にしなさい」「優しくしなさい」と言っても、たいていは逆効果。
大切なのは、親が率先してお手本を見せること。
「どうぞ~」と席をゆずったり、道をゆずったり、エレベーターで「何階ですか?」とかね。
子どもが出来るかどうかは別にして…
気持ちのいい行動を目にするだけでも、オキシトシンは分泌されます。
親切は、親も子どももオキシトシンが分泌されて、一石二鳥になると思いますよ。
このような行動を増やして、オキシトシンを出す生活習慣をつくる。
すると、大人になっても、オキシトシン濃度の高い人でいられる。
つまり、良好な人間関係ができてくるというわけです。
オキシトシンの「オマケの効果」が凄い!
最後に、余談になってしまうかもしれませんが…
オキシトシンのオマケの効果が凄い!ということで、ちょっとだけご紹介させてください。
オキシトシンは、愛のある人になれるだけではなく…
- ストレス解消効果
- 免疫力アップ
- 胃腸を元気にする
- 心臓・血管を元気にする
- ダイエット効果
- 美肌効果
- 筋肉の老化防止
- 記憶力アップ
それから、オキシトシン濃度が高い人ほど収入が高い、という統計もあります。
このように、オキシトシンは良いことづくめ。
最初にご紹介しました、ハーバードメン研究の上位10%の人になれるホルモンなのです。
今回は「子育て」がテーマですが、大人の方もオキシトシン濃度を高めれば、良いことづくめです。
みなさまも、先ほどの4つの方法を少しずつでもいいので、ぜひ実践してみて下さいね。
まとめ
●幸せになるのに一番大切なものは、人を愛する能力
●人を愛する能力を高めるものは、オキシトシン
オキシトシンを分泌するには…
- スキンシップ
- 感動
- 動物とのふれあい
- 親切
オキシトシンを分泌する生活習慣を身に付ければ、対人不安が減って、思いやりのある人になる。
周りの人たちからも愛されて、幸せな人生になるというお話でした。
よく「情けは人の為ならず」といいますが、人を思いやることで、最終的に一番幸せになるのは「自分」。
オキシトシンを分泌する生活習慣を、子どもに身につけさせることができれば、きっと人生に大きな花が咲くと思いますよ。
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以上、【学力よりも大切なもの】幸せな人に育てる「上手な子育て」のコツでした。
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