今回は、「とっておきの子育てテクニック」を5つご紹介させていただきます。
これらのテクニックをつかえば、子どもの自己肯定感と自主性が高まります。
自己肯定感と自主性は、「性格の土台」みたいなもの。
ケーキに例えれば、「スポンジ」部分。
スポンジがなければ、グシャッと潰れてしまいますからね。
ちなみに自己肯定感とは、「私は私でいいんだ」という気持ち。
「長所も欠点もあるけど、このままの自分で愛される価値があるんだ。存在する価値があるんだ」という感覚。
自己肯定感の高い人は、自信をもって人生を歩んでいくことができます。
やる気にあふれ、ストレスにも負けない強い心をもつこともできます。
一方、自己肯定感の低い人は…
- ストレスに弱い
- 傷つきやすい
- イライラしやすい
- 依存症になりやすい
- こだわりが強くなる
- コミニケーションが苦手
- 子育てが苦手
など、息苦しい人生になってしまうのです。
こちらをご覧ください↓
13歳~29歳の人を対象にしたアンケート。
「私は自分自身に満足している」という質問に、「はい」と答えた人の割合。
欧米は、のき並み80%以上。
日本人は、45.8%。
日本人の自己肯定感は、ずば抜けて低い。
多くの日本人が、息苦しさを感じながら生きているのです。
でも、今回ご紹介しますテクニックをつかえば、子どもの自己肯定感を上げることができます。
それから、もう一つの自主性。
これは説明するまでもありませんが、「みずから進んで行動できる力」。
自主性のない人は、「言われなければできない」「追い込まれなければできない」。
いわゆる、指示待ち人間になってしまう。
そうなると、お母さんが大変なだけでなく、将来すすむ道も限られてきます。
一方、自主性がある人は、言われなくても自分でできる。
自分の力で、人生を切り開いていけます。
将来の可能性が大きく広がる、ということですね。
というわけで、ここから「自己肯定感と自主性を上げる5つの子育て術」をお伝えさせていただきます。
5つありますが、その中から「これは使えそう!」というのをピックアップして、ぜひ実践してみてくださいね。
「自己肯定感」と「自主性」を上げる5つの子育て術
① 心配しない
② アイメッセージ
③ 損得で教える
④ ヨイ出し
⑤ 共感
1つずつ順番にお伝えさせていただきます。
子育て術① 心配しない
まず1つ目の子育て術は、「心配しない」。
意外かもしれませんが…
親は、子どものことを「心配」してはいけないんです。
心配されて育った子は、自信を失います。
自己肯定感が下がってしまうのです。
なぜかというと…
「心配=信じられない」だから。
想像してみてください。
もしも、友達からこう言われたら…
「あなたの運転で大丈夫?心配だわ」
「あなたが子供会の会長なんて、ホントにできるの?」
心配されると、イヤな気分になるだけでなく、プライドもズタズタですよね。
子どもだって、同じ。
「大丈夫?忘れ物はない?」
「今度のテストは大丈夫なの?」
親から心配されると、子どもは自信を失ってしまう。
「僕はその程度の人間なんだ」「能力が低いんだ」と。
自己評価が下がって、何をやってもダメな気がしてしまうのです。
親のつとめは、子どもを「信じる」こと
では、心配がダメなら、親は何をすればいいのか?
それは…
「信じる」こと。
「あなたなら大丈夫!お母さん信じてるから」
「太郎なら大丈夫!次はきっとうまくいく」
アドラー心理学では、これを「勇気づけ」というのですが…
親から信用されて育った子は、自分に自信がつきます。自主性も出てきます。やる気も湧いてきます。ズルいこともしなくなります。
子どものことが心配で心配でたまらないのは、どこの親も同じ。
「大丈夫なの?」と言いたい気持ちをグッとこらえて、「お母さん、あなたのこと信じてるから」。
この一言が、子どもの自己肯定感と自主性を育てます。
心配するのは、病気とケガのときだけ。
親のつとめは、「心配」ではなく「子どもの可能性を信じてあげる」ことなのです。
子育て術② アイメッセージ
つづいて2つ目は、「アイメッセージ」。
アイメッセージは、実に素晴らしいテクニック!
まずは、下の2つの言葉をご覧ください。
「なんで友達をいじめたの!」
「友達をいじめるなんて、ママ悲しいわ」
日本語は主語がなくても通じるので、ちょっと分かりにくいのですが…
「なんで友達をいじめたの!」は、主語がYOU。あなた。
だから、これはユー・メッセージ。
ユーメッセージで叱ると、子どもは「責められている感じ」がして、反発や言い訳をしがち。
「だって、あっちが悪いんだよ!」というように。
一方の「友達をいじめるなんて、ママ悲しいわ」は、主語がわたし。I。
だから、アイ・メッセージ。
アイメッセージで叱ると、子どもはドキッとします。
子どもは、お母さんの悲しんでる顔を見たくないですからね。
「なんだか悪いことをしちゃったなぁ」「もっとシッカリしなくちゃ」と、自覚するようになる。
親が口やかましいことを言わなくても、自ら行動を改めようとします。
つまり、自主性が身につくわけです。
褒めるときもアイメッセージ
叱るときだけではなくて、褒めるときもアイメッセージは有効です。
たとえば、お手伝いをしてくれたときに、「ありがとう!助かるよ」とアイメッセージで褒めれば…
子どもは、「自分は役に立っている」「わたしは価値のある人間だ」と思うようになる。
つまり、自己肯定感が高まるというわけです。
ほかにも…
「片付けなさい!」⇒「出しっぱなしだと、ママ困るわ」
「早くお風呂に入りなさい!」⇒「早く入ってくれると嬉しいわ」
「優しいのね」⇒「お母さん、感激したわ!」
「ぜんぶ食べたね」⇒「ぜんぶ食べてくれて、お母さん嬉しいわ!」
このように、ユーメッセージをアイメッセージに変換すれば、子どもの自己肯定感と自主性が高まる。
さらに、お母さんは小言を言わなくてもすむ。
言い方をちょっと工夫するだけで、一石二鳥というわけです。
子育て術③ 損得で教える
「論で人は動かぬ。利で動く」という有名な言葉があります。
「理屈で人は動かない。利益で動く」という意味です。
子どもにも、そういう一面があって…
「正しい・正しくない」という話には、なかなか耳を傾けてくれない。
ところが、「損する・得する」という話になると、食いついてくるんです。
たとえば、「きれいに歯を磨かなきゃダメでしょ!」と叱っても…
子どもは、なかなか言うことを聞いてくれません。
ところが、「不潔だとモテないわよ。女の子は清潔感のある男が好きなんだから」と損得を語れば…
「ちょっとはきれいに歯を磨こう」という気になる。
ほかにも…
「人の悪口はダメでしょ!」⇒「人の悪口って、かっこわるいよ」
「もっと丁寧に書きなさい!」⇒「字が綺麗だと、人から信頼されるわよ。どこに行ってもお得よ」
「損得の話」に脳は反応して、ドーパミンを分泌します。
やる気が湧いてきて、自主性が上がります。
損得勘定と聞くと、なんだか「いやらしい話」に聞こえてしまいますが…
脳科学的には、実に素晴らしいことなのです。
子育て術④ ヨイ出し
いきなりですが、ちょっと想像してみてください。
「ここがダメ!」「もっと頑張れよ」と上司にダメ出しされたら、一瞬でやる気を失いますよね。
これとは反対に…
「ここイイね!」「がんばってるね!」と褒められたら、「もっと頑張ろう!」という気になるはずです。
旦那さんから、「味噌汁が薄いぞ」とダメ出しされるより、
「この麻婆豆腐、おいしいね!」と褒められたほうが、断然やる気が湧いてきますよね。
「次は、もっと美味しいものをつくるぞ!」と。
このように、出来ていないところは目をつぶり、出来ているところを褒める。
それが、ヨイ出し。
子どもも、「ダメ出し」されるより、「ヨイ出し」されたときのほうが、遥かにやる気がアップします。
●「食べ物を残したとき」に叱るのではなく、「ぜんぶ食べたとき」に褒める。
●「宿題を忘れたとき」に叱るのではなく、「宿題ができたとき」に褒める。
●「兄弟喧嘩したとき」に叱るのではなく、「兄弟仲良くしているとき」に褒める。
ノースウェスタン大学の研究によると…
ヨイ出しされた人は、そうでない人より、平均で1.5倍 モチベーションがアップするとのこと。
つまり、「もっとがんばろう!より良くなろう!」という気持ちになり、自主性が高まるというわけです。
子育て術⑤ 共感
最後の5つ目は、「共感」。
日本人は「感情表現が極端に苦手」と言われています。
・うれしいのに、喜ばない
・悲しいのに、涙を流さない
・悩んでいるのに、相談しない
・言いたいことを素直に言えない
そうなってしまう一番の理由は、親に共感してもらってないから。
「男の子が泣くんじゃない!」「甘えるんじゃない!辛抱しろ!」というように。
それとは反対に…
・痛がっている子には「痛いよね」
・怖がってる子には「怖いよね」
・つらそうな子には「つらいよね」
親に共感されると、子どもは心を開きます。
素直に感情を出せるようになっていきます。
ちなみに、感情豊かな人は、多くの人から愛されます。
また、親に共感されることで、子どもは「自分が大切にされている」と実感します。
つまり、自己肯定感が上がる。
さらに、共感すると、子どもは聞き分けがよくなります。
たとえば、「もっと遊びたい!」と公園でタダをこねる子に対して、
「もっと遊びたいよね。楽しいもんね」と共感してから、「でもね」と理由を話せば…
たいていの場合、グズグズ言いながらも、言うことを聞いてくれるものです。
このように、共感ひとつで…
子どもは、感情豊かになる。自己肯定感が高まる。聞き分けがよくなる。
一石三鳥ですからね。
やらないなんて、もったいないと思いますよ。
最後に1つ、大切なこと
ここまで「かしこいお母さんの子育て術」を5つご紹介してきましたが…
最後に1つだけ、どうしてもお伝えしなければならないことがあります。
それは、0歳~3歳の乳児期。
ご紹介したテクニックは、この時期、なかなか通用しません。
でも大丈夫!
乳児期に親がすべきことは、ただ1つ。
それは…
たっぷりと愛情を注ぐ
十分なスキンシップと、抱き癖がつくほどの抱っこ。
あとは、感情をしっかり受け止めてあげる。
「怖いよね」「お腹がすいたよね」「まだ遊びたいね」と。
乳児期に、親からたっぷりの愛情を受けた子どもは、自己肯定感が劇的に高まります。
それだけでなく、「知能が高くなる」「人格にいい影響を及ぼす」ということも分かっています。
0歳~3歳の時期にたっぷりと愛情を注げば、その後の子育ては、相当ラクになると思いますよ。
まとめ
ご紹介しました「かしこいお母さんの子育て術」をまとめると、この5つ。
①心配ではなく、信じてあげる
②アイメッセージで褒める・叱る
③理屈ではなく、損得で教える
④ダメ出しではなく、ヨイ出しする
⑤子どもの気持ちに共感する
自己肯定感が上がると、子どもは胸を張って社会に出ていくことができます。
自主性が上がると、「自分の力」で人生を切り開いていくことができます。
また、子どもの自己肯定感と自主性が上がれば…
お母さんの小言も少なくなり、子育てがうんと楽になるはずです。
それから、最後にもう一つ。
ぜひ実践していただきたいのが「笑顔」。
子どもはみんな、「お母さんの笑顔、大好き!」「お父さんの笑顔、大好き!」ですからね。
子どものまえで、ため息はNG。
いつも笑顔で「安心できる家庭環境」をつくっていけば、子どもの表情が変わります。
心も健やかなり、家族の絆を深めることもできると思いますよ。
以上、自己肯定感アップ!かしこいお母さんの子育て術でした。
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