星の王子さまは、なんと!全世界で1億5千万冊以上も売れている名作中の名作。
そして、子供向けではなく、大人向けのお話です。
大人に向けて、「大切なメッセージ」が込められています。
ところが!
星の王子さまを読んだ感想で、いちばん多いのは、これ↓
「いまいち、よくわかんない」
星の王子さまは、なかなか手強い本なんです。
「大切なメッセージ」が何なのかは、何度も何度も読まなければ、見えてこない。
そこで今回は…
星の王子さまを一度も読んだことがない人でも把握できるよう、サクッと簡単に解説させていただきます。
星の王子様から学べる教訓は、たった1つ。
この1つのことさえ実践できれば、心に潤いのある、有意義な人生になります。
「人生で一番大切なことは、これなんだ!」と気づくこともできると思いますよ。
星の王子さまに込められた、大切なメッセージとは
星の王子さまは、大人たちをみて、こう言います。
「かわいそうに」
その理由は、あわただしくて、ギスギスとした毎日を送っているから。
「あっ!それ俺のことだ」と思った方も見えると思います。
なぜ、ギスギスとした毎日になるのか?
では、なぜ大人たちは、慌ただしくてギスギスとした毎日になってしまうのか?
その原因は…
大切なことを1つ忘れているから。
では、その「大切なこと」とは?
「自分以外のものに興味をもつ」こと。
これが、大切なんです!
子どもは、「自分以外のもの」に興味をもつことの達人
子どもたちは、「自分以外のもの」に興味をもつことの達人です。
たとえば、アリの行列を見つければ…
「せっせと何を運んでるんだろう?リーダーは誰だろう?どこまでつながってるのかな?」と興味津々。
スズメを見つければ…
「あれは親子じゃないかな?どっちがお母さんだろう?」というように。
子どもたちは、次から次へと「自分以外のもの」に興味をいだきます。
興味をもてば、好きになる
すると、しだいに興味の対象を好きになっていきます。
・アリに興味を持てば、アリさんのことを好きになる。
・スズメに興味を持てば、スズメさんのことを好きになる。
・夕焼けに興味を持てば、夕焼けが好きになる。
ほかにも…
たとえば、道端のタンポポに声をかける。
「おはよう!」「やっと咲いたね」というように。
すると、だんだんタンポポさんのことを好きになる。
世の中にありふれたタンポポとは違う、自分にとって特別なタンポポになる。
100万本のバラより素敵な、1つのタンポポになる。
ぬいぐるみでも、「プーちゃん、お腹すいてない?」とお世話をしたり、一緒に遊んだりすれば…
もう、それは単なるぬいぐるみではなく、家族の一員になる。
悲しいときは、励ましてくれるし、うれしいときは、いっしょになって喜んでくれる。
魚屋のおばちゃんでも…
「おばちゃん、なんでいつも長靴を履いてるの?」「もう40年もやってるんだ!すごいね」というように。
相手に興味をもって、たわいもない時間を一緒にすごせば、やがて2人のあいだに「絆」ができてくる。
そこら辺の普通のおばちゃんとは違う、「かけがえのないおばちゃん」になる。
おばちゃんにとっても、「かけがえのない坊ちゃん」になる。
このように、自分以外のものに興味をもつことで、大切なものや、大切な人がどんどん増えていく。
大好きなものに囲まれた、素敵な毎日になる。
心に潤いのある生活ができるというわけです。
大人は、「自分のこと」に一生懸命
一方、大人はというと…。
「人にも動物にも優しい子」より、「意地悪でも算数や理科のできる子」のほうが高い評価を受けるという学校教育にもまれているうちに…
だんだん「自分のこと」しか考えられなくなってくる。
自分の成績、自分の学歴、自分の容姿、自分の仕事、自分の収入、自分の地位、自分の名誉…。
自分のことばかり追いかけているうちに、だんだん他のものが見えなくなってくる。
やがて自意識過剰になり、必要以上に人の目や世間体を気にしたり。
ときには天狗になったり…
ときには小さな嘘をついてしまったり…。
自分を偉く見せることに、一生懸命になってしまう。
さらに、もっとひどいケースだと…
「数字」にしか興味がもてなくなる。
自分の収入、仕事の成績、時間効率、コストパフォーマンス、体重、子供の成績など、数字が人生の目標になる。
数字につながらない行動は、無駄に思えてくる。
「くだらないことをしてないで、さっさと勉強しなさい!」とか、
「そんなモノをいつまでも大事にして、どうすんの!」と、子どもの好奇心や想像力まで奪ってしまう。
お父さんであれば…
「そんなことをがんばっても、1円にもならないぞ」とか、
「明日の運動会、来てくれる?」と子どもに聞かれても…
「明日は仕事なんだから。そんなつまらんことに関わってる暇はないんだ」というように。
そうやって、数字ばかり追いかけていたら、やがてヘトヘトに疲れてしまう。
人との絆も細くなるから、人間関係もギクシャクしがち。
物への愛着も薄いから、いらなくなったら、感謝もせずに、物をポイッと捨ててしまう。
その結果、セカセカと忙しいばかりで、どこかむなしい毎日、味気ない毎日になってしまう。
で、こんな大人たちを見て、星の王子さまは「かわいそう」と思ったわけです。
これ、星の王子さまだけではなく、岡本太郎さんも同じようなことを言っています。
自分を大事にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまうのだ(岡本太郎)
「自分以外のもの」に興味をもつか、
「自分のこと」に興味をもつか。
その「小さな違い」が、やがて「大きな違い」となって人生に現れてくるということですね。
ここからが重要なポイント!
ここで一段落したわけですが、実はここからが重要なポイント。
というのは…
物語の途中で、「猛毒の黄色い蛇」が出てきて、意味の分からないことをつぶやきます。
「謎は全部おれが解く」
この一文が、星の王子さまを読み解くための、大切なキーワード。
この意味がわかれば、星の王子さまに書かれた教訓が見えてくるのです。
なぜ、子ども心が大切なのか?
「謎は全部おれが解く」とは、どういう意味か?
毒蛇は、「死」の象徴。
つまり、「おれ」とは死。
「謎」とは、この本全体のテーマ。
「なぜ、子ども心が大切なのか?」
これをつなぎ合わせると…
「なぜ、子ども心が大切なのかは、死にぎわになれば全てわかる」
なんだか、推理小説みたいですけどね。
「死にぎわになれば全てわかる」というのは…
死にそうな経験をすると、「人生を走馬灯のように振り返る」とよく言いますよね。
それから、高齢者は自分の死を意識すると、人生をよく振り返るようになるそうです。
死を目前にして、人はなにを思う?
そのときに、何を思うのか?
築き上げた「財産」のことでも、「地位」のことでもないはずです。
思い出すのはきっと、他愛もない瞬間や、何気ないひととき。
たとえば…
・いつも優しくなぐさめてくれた、お母さんのぬくもり
・肩たたきをしたときの、おばあちゃんの笑顔
・一緒に電車と競争した、友だちとの友情
・片思いをしていたときに見た、きれいな夕日
・いつもそばいてくれた、ポチとの思い出
・娘がはじめてしゃべったときの、言葉にできない感動
・いつもコロッケをおまけしてくれた食堂のおばちゃん
このような、何気ないひとコマひとコマが大切なんだ!
お金には変えられない人生の宝物なんだ!と、死を目前にしてはじめて気づく。
これが、黄色い毒ヘビがいった「謎は全部おれが解く」の意味。
子供のように、「自分以外のこと」に興味をもつことで…
「かけがえのない人生の宝物がふえて、後悔のない人生になるんだよ」ということですね。
人生は、バランスが大事
とはいっても、これ、バランスが大事だと思います。
「自分のこと」もちゃんと考えないと、今の世の中、生きていけませんからね。
「自分のこと」を考えつつ、「自分以外のこと」にもちゃんと興味をもつ。
そんな生き方が、ベストなんだと思います。
すこし具体例をあげると…
・ストレス解消のためにゆっくりテレビを見るのもいいですが、目のまえの家族との会話は、それよりもっと大事
・使い捨ての生活は便利で効率的ですが、一つ一つのものを大切にすることは、それよりもっと大事
・仕事が終わったらとっとと帰るのもいいですが、同僚と雑談を楽しむことは、それよりもっと大事
・土曜日に仕事をするのもいいですが、子どもの運動会で声援を送ることは、それよりもっと大事
・家でダラダラ過ごすのもいいですが、ペットや自然とのふれあいは、それよりもっと大事
・ハワイでバカンスを満喫するのもいいですが、実家に帰って顔を見せることは、それよりもっと大事
こうやって、「自分以外のこと」にも目を向けて生きていけば、興味の対象を好きになり、毎日の生活が潤ってくる。
だけではなくて…
人生の宝物がいっぱい手に入り、有意義な人生になると思いますよ。
まとめ
名作・星の王子さまから得られる教訓は、たった1つ。
「自分以外のことに興味をもつ」ことの大切さ。
子どものように…
人に興味をもち、生き物に興味をもち、モノに興味をもち、景色に興味をもって生きていれば、大切なものに囲まれた、充実した毎日になる。
そこから生まれてくる「人生の宝物」も、いっぱい増えて、有意義な人生になる。
反対に、「自分のこと」ばかり追いかけていると、ギスギスとした慌ただしい毎日になる。
人生の宝物も取りこぼし、どこかむなしい人生になってしまう。
がんはってがんばって生きてきた結果がこれでは、ちょっとさみしいですよね。
とはいっても…
これはぼくの解釈であって、あくまでも一例に過ぎません。
星の王子さまは、ホントに深いお話で、読む人によって解釈は違ってくると思います。
ですので、ぜひみなさんにも、読んでいただきたい。
すでに読んたことがある人でも、もう一度読めば、また新たな発見があるはずです。
自分だけの気づきもあるはずです。
ちなみに、ぼくのおすすめは、内藤 濯(ないとう あろう)さんが翻訳したバージョンの、星の王子さま。
あろうさんの訳は、やわらかくて角がない。
とても優しい文章に仕上がっています。
興味のある方は、ぜひ一度、手にとって読んでみてくださいね。
ご挨拶
今年も1年間、みなさまには本当にお世話になりました!
喜びや励ましのお便りをいただいたり、たくさんのご感想をいただいたり。
ほんとに感無量です。感謝しています。
来年も張りきっていこうと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
最後の最後までお読みいただき、ありがとうございました!
それではみなさん、よいお年を!
以上、300%わかる!「星の王子さま」に学ぶたった1つの教訓でした。
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