「現在の世の中は生きづらい」と考えている日本人は、およそ70%。
・他人の評価や視線が気になり、自分らしく生きられない
・些細なことで不安になったり、落ち込んだりしてしまう
・職場・家庭・友達など、人間関係の悩みが尽きない
「あっ!それ私のことだ」と思われた方もみえるかもしれませんが、これらは多くの現代人が抱える共通の悩み。
で、実は、これらすべての悩みを、ごっそり解決する方法があるんです!
2000年前からあるんです。
その方法を考えたのが、この方。
エピクテトス
「だれ?このおじさん」
そう思われた方も多いと思いますが、このおじさん、ただ者ではありません。
エピクテトスは、西暦50年ごろに生まれた、ローマ時代の哲学者。
でも、単なる哲学者ではないんです!
奴隷の哲学者
当時のローマでは、身分に階級があって…
一番上から、貴族・平民・奴隷。
エピクテトスは残念なことに、両親が奴隷だったため、自分も物心ついたときから奴隷として生きていくしかなかった。
おまけに彼は、片足が不自由だったんです。
これって、そうとう過酷ですよね。
現代人の悩みに比べたら、次元が違います。夢も希望もありません。人生終わっています。
ところが、エピクテトスはそんな過酷な状況に置かれながらも、苦痛を感じることなく、自由な心で幸せに生きたんです。
なぜ、そんな事が可能だったのか?
エピクテトスには、独自の「知恵」や「哲学」があったからです。
というわけで今回は、エピクテトス的・生きづらい世の中で自由で幸せに生きる秘訣を厳選して3つお伝えさせていただきます。
エピクテトスの考え方は、パスカル、ニーチェ、アラン、エマーソン、ヘンリー・デイヴィッド・ソロー、夏目漱石など、世界中の偉人からもリスペクトされている最高の知恵。
ぼく自身も、エピクテトスの考え方には、大きな影響を受けています。
これを知れば、たとえ辛すぎる状況でも、幸せな気持ちで生きることができると思いますよ。
エピクテトス的・自由で幸せに生きる秘訣①
エピクテトス的、自由で幸せに生きる秘訣、その1つ目は、こちら↓
「失った」ではなく「返した」と考える
いきなり何のこっちゃ?ですが、ちょっと想像してみてください。
観光地をぶらぶら散策していたら、「レンタサイクル3時間無料」の看板が。
さっそく自転車を借りて観光地を巡り、
きれいな景色をみて、
美味しいものも食べました。
そして3時間後、管理人に自転車を返しました。
このときに、「わたしは、自転車を失った」と考えるでしょうか?
「管理人に自転車を奪われた」と思うでしょうか?
絶対に、そうは思わないですよね。
「貸してくれてありがとう♪」ですよね。
エピクテトスは、「人間関係も、このレンタサイクルと同じように考えなさい」と言うんです。
どういうことか?
出会う人は、天の神様が貸してくれたもの
私たちは、裸で生まれ、裸で天国へ帰っていきますが…
その間に両親・兄弟・友達・恋人・パートナー・子ども・ペットなど、たくさんの人と出会います。
「これら出会うすべての人は、自分の人生を豊かにするために、一時的に天の神様が貸してくれたもの。そう考えると、良いことがいっぱいあるよ」とエピクテトスは言うんです。
たとえば、1年間付き合った彼女にフラれて、ズドーンと落ち込んだとしても…
『自分の人生を豊かにするために、一時的に天の神様が彼女を貸してくれたんだ』
そう思えば、「あそこも行ったし、ここも行ったし、美味しいものもいっぱい食べて、いっぱい笑ったなぁ。一年間ホントにありがとう!」と感謝の気持ちが湧いてきたりします。
そして、この感謝の気持ちが、別れの悲しみを中和してくれる。
心に余裕が生まれ、平常心を取り戻せるわけです。
家族との何気ないひとときでも…
『自分の人生を豊かにするために、一時的に天の神様が家族を貸してくれているんだ』
そう思えば、「一秒一秒大切にしよう。いっぱい笑って、いい思い出をたくさん作ろう」。
こんな感じで、家族と一緒にいられる貴重な時間を、より大切にできますよね。
子育てでも…
「自分の人生を豊かにするために、一時的に天の神様からこの子をあずかっているんだ」
そう思えば、「大切に育てよう。たっぷり愛情を注ごう」という気持ちになれます。
また、一人の人間として、息子の生き方や考え方を尊重してあげられます。
息子が大きくなり社会へ旅立っていくときも、悲しい気持ちではなく、晴れやかな気持ちで送り出すことができます。
あと、「友だちの性格がわがままで、困っちゃう」というのはよくある悩みですが、
「自分の人生を豊かにするために、一時的に天の神様から友達を借りている」と思えば…
「何のために、この友だちを借りているんだろう。とっととお返ししよう。あの子とは距離を置こう」と正しい判断ができますよね。
お分かり頂けたと思いますが…
①「出会うすべての人は、自分の人生を豊かにするために、一時的に天の神様が貸してくれたもの」と考える
②それを失ったときには、「失った」ではなく「返した」と考える
このように考えるだけで、人生の苦しみが減り、喜びが増える。
まさに、目から鱗の考え方ですよね。
「借りモノではさみしい」が落とし穴
「でも、家族を『借りモノ』と考えるなんて、さみしい気がする」
その気持ち、わかります。
人間には所有欲がありますからね。
家族もペットも恋人も、自分のモノと思いたい。
でも、これが大きな落とし穴なんです。
たとえば、「家族は自分のモノ」という気持ちが少しでもあると、「相手を思い通りに動かしたい」という思いが無意識のうちに湧いてくる。
それが小言になり、文句になる。
でも、相手はそう簡単に変わらないから、ストレスがたまりムシャクシャして、最後にはイザコザになる。
エピクテトスに言わせれば、「これこそが不自由な生き方」。
そうならないためにも、「出会うすべての人は、自分の人生を豊かにするために、一時的に天の神様が貸してくれたもの」と考えたほうがいいですよ、ということですね。
エピクテトス的・自由で幸せに生きる秘訣②
エピクテトス的、自由で幸せに生きる秘訣の2つ目は、こちら↓
「自分でコントロールできないもの」を軽く見る
その代わりに、「自分でコントロールできるもの」を重要視する
タイトルは長いですが、簡単な話です。
たとえば麻雀で…
・どんな牌が配られるかは、自分でコントロールできないこと
・配られた牌でどう戦うかは、自分でコントロールできること
もしもですが、牌が配られたときに…
「ゲッ!配牌が最悪だよ。こんなの不公平だよ。やってらんないよ!」と文句をいう人がいたら、どう思いますか?
「そんなの、しゃ~ないやろ。ウダウダいう暇があったら、配られた牌でどう勝つかを考えなよ」と言いたくなりますよね。
エピクテトスの言いたいことは、まさに、こういうことなんです。
「自分でコントロールできないもの」は「しゃ~ないか」と軽く見て、「自分でコントロールできるもの」を重要視する。
「自分でコントロールできないもの」を重要視すると、不自由になる
たとえば居酒屋で、「会社が悪い、部長が悪い、景気が悪い、給料が安い、税金が高い、女性にモテない」と文句を言っても、これらはすべて「自分でコントロールできないもの」。
どれだけ一生懸命訴えても、お金と時間とエネルギーの無駄遣いになるだけで、生活は一向に良くならない。
だけでなく、常に被害者として生きていかなければならない。
これでは、生きづらくなるのは当然ですよね。
だから、「自分でコントロールできないものは、『まぁ、しゃ~ないか』と軽く見なさい。その代わりに、自分でコントロールできることにエネルギーを注ぎなさい」とエピクテトスは言うんです。
自分でコントロールできることとは
「自分でコントロールできること」というのは、たとえば、部長との関係がうまくいっていないのであれば…
・部長とうまくやっている同僚に秘訣を聞いてみる
・人間関係の本を読んで、1つずつ試してみる
・部長との雑談をふやして、親密度を高める
それでも上手くいかないのなら、人事部に相談して、部署を変えてもらうとか。
もしも、「給料が安い」というのであれば…
・仕事に関係する本をたくさん読んで、出世を狙う
・何か副業を始めてみる
・「お金の大学」を読んで、お金の増やし方を学ぶ
もしも、「女性にモテない」というのであれば…
・身だしなみを整えて、清潔感を出す
・女性にも、気さくに声をかける
・周りの人に優しくして、人間性を磨く
・運動して体を絞る
・出会いのありそうな場所に、足を運ぶ
このように、「自分でコントロールできないもの」を軽く見て、その代わりに、「自分でコントロールできるもの」にエネルギーを注ぐ。
「これこそが、自由に至る唯一の道」とエピクテトスは断言しています。
実際、エピクテトスは、自分が生まれながらの奴隷であることや、足が不自由なことを「どうでもいいこと」とし、目のまえのできることに精一杯励んだ結果、その努力が認められ奴隷から解放されました。
その後は、やりたかった哲学教師として晩年を過ごしています。
自由に至る唯一の道。
これを、身をもって証明して見せたわけです。
凄いですよね!エピクテトス。
エピクテトス的・自由で幸せに生きる秘訣③
エピクテトス的、自由で幸せに生きる秘訣の3つ目は、こちら↓
他人事のように、自分事を捉えよ
エピクテトスは、「ネガティブな感情に支配されないために、他人事のように自分事を捉えよ」と言います。
たとえば、わかりやすいところで…
親友が失恋して落ち込んでいるときに、どうやって声をかけるでしょうか?
「そんなに落ち込むなよ。縁がなかっただけだよ。きっと、もっといい人が見つかるよ。女の人は星の数ほどいるんだからさ」
こんな感じで、優しく励ましますよね。
ところが、自分が失恋したときには、この世の終わりのようにズドーンと落ち込んだまま、なかなか立ち直れない。
人間は、自分の不幸に弱いのですね。
不幸に見舞われるたびに、こんなふうに落ち込んでいたら、生きることに対して臆病になってしまします。
だから、「もしも、これが他人だったら?と考えて、他人を励ますように自分を励ましなさい」とエピクテトスは言うわけです。
もしも、仕事で失敗したのなら、「取り返しのつかないことをしてしまった。最悪だ。もう終わりだ」ではなくて…
「誰にだって失敗はあるよ。人間、失敗しながら成長するんだからさ。そんなに気にするなよ」
もしも、ワンちゃんが亡くなって落ち込んでいるのであれば…
「きっと今ごろ、天国のおじいちゃんと楽しく遊んでいるよ。私がクヨクヨしていたら、天国のポチまで悲しくなっちゃうよ。元気出していこうよ」
このように、他人を励ますように自分を励ませば、自信ややる気を失うこともないし、無駄に精神を病むこともなくなります。
ちなみに、他人を励ますように自分を励ますことを、心理学では「セルフ・コンパッション」と言うのですが、その効果は劇的です。
セルフ・コンパッションのうまい人ほど…
・ストレスに強い
・自己肯定感が高い
・人の評価が気にならない
・モチベーションが高い
・好奇心が強い
・人に優しくなれる
・人間関係がうまくいく
・先延ばしが少ない
など、とにかく良いことずくめ。
きっとエピクテトスは、これらの効果を体感的に知っていたのでしょうね。
まとめ
最後になりますが、今回一番伝えたかったことを、ここでお伝えさせてください。
今から約1900年前、ローマの裕福な家庭に生まれた一人の少年がいました。
ある日、その少年は、先生から一冊の本を手渡されます。
「いったい何の本だろう。エピクテトス?」
その本を読んだ少年は、心の底から感動します。
「これこそが真の哲学だ!」
彼はそこから、エピクテトスの教えを忠実に守ります。
・「自分でコントロールできないもの」を軽く見て、その代わり、「自分でコントロールできるもの」にエネルギーを注ぐ
・心が折れそうなときは、他人を励ますように自分を励ます
・人間関係は神から借りたモノと考え、人との出会いを大切にした
その結果、メキメキと実力をのばし、周りの人からの信頼も獲得して…
最後には、なんと!
第16代ローマ皇帝、マルクス・アウレリウスになったんです。
ちなみに、アウレリウスが皇帝だったころのローマがもっとも繁栄していた、と言われていますので、アウレリウスがいかに優れた人物に育ったかをうかがい知ることができますよね。
さらに、それだけではないんです!
アウレリウスは、自分の生きざまや考えかたを、日記のように記していました。
それをまとめたものが、あの有名な「自省録」。
1800年以上たった現在でも、世界中の本屋さんに並んでいます。
欧米の著名人たちが、こぞって座右の書にあげる、名著中の名著です。
一人の少年の人生を見てみるだけでも、エピクテトスの教えがいかに素晴らしいものかが分かりますよね。
また、「自省録」が、1800年以上ものあいだ世界中で読まれ続けているという事実が、エピクテトスの教えは、古今東西 だれでも活用できる普遍的な知恵であることを証明しています。
今回は、エピクテトスの知恵を3つだけご紹介しましたが、他にもまだまだたくさんあります。
「もっと知りたい。もっと深く学びたい」という方は、まずはこちらの本がおすすめです。
奴隷の哲学者エピクテトス、人生の授業
哲学系の本は、難解で理解しがたいものが多いのですが、この本は違います。
マンガが散りばめられていて、笑いながら学べます。250ページくらいあるのに、すぐに読み終わります。
興味のある方は、ぜひ手に取って読んでみてくださいね。
この本が、自分の人生のターニングポイントになるかもしれませんよ。
以上、生きづらい世の中で“自由に生きる”秘訣でした。
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