この記事でお伝えしたいこと
- 寝ても疲れがとれない原因は?
- 脳をしっかり休ませる方法
ちゃんと睡眠時間は取れているにもかかわらず…
「すっきり起きられない」「頭がボーっとする」。
おそらくその原因は「脳疲労」。
「体の疲れ」は取れているけど、「脳の疲れ」が取れていない状態です。
では、ちゃんと寝ているのに、なぜ脳の疲れが取れないのか?
それは、寝ている間も、脳が活発に動いているから。
眠っているのに、脳が休めていないということです。
そうなってしまう主な原因は、こちらの3つ。
①やり残し
②心配事
③休憩不足
この3つが、脳の休息をさまたげる主な原因。
寝ているあいだも、脳が活発に動いてしまうのです。
というわけで今回は、脳の休息をさまたげる3つの原因と対処法をご紹介させていただきます。
「寝ても疲れが取れない」という方には、きっと役立つ内容になると思いますよ。
脳の休息をさまたげる3つの原因
①やり残し
②心配事
③休憩不足
1つずつ順番にご紹介させていただきます。
①「やり残し」があると、脳の疲れがとれない
脳の休息をさまたげる1つ目の原因は、「やり残し」。
言いかたを変えると…
「1日の終わりに、やり切った感がないまま寝ている」ということです。
たとえば、「仕事を全部やり切ったとき」や「心ゆくまで遊んだとき」は、気持ちのいい達成感がありますよね。
「今日もよくがんばったなぁ」「思いっきり遊んだなぁ」と。
そんな達成感があるときは、疲れていても、それは「心地いい疲れ」。
眠れば、スッキリ疲れがとれます。
反対に、「残業したけど、まだ仕事が残っている」「せっかくの日曜日をパジャマで過ごしてしまった」など。
中途半端な状態で眠ると、なぜか疲れが取れない。
次の日に、疲れが残ってしまうのです。
これを心理学で「ツァイガルニク効果」といいます。
疲れが取れない原因は、DMNの活性化
なぜ、中途半端なまま眠ると、疲れが取れないか?
その原因は、『DMN』。
人間の脳には、DMNというシステムがあります。
DMNとは、「デフォルト・モード・ネットワーク」の略で、難しい話ではありません。
『脳は無意識の領域で、つねに考えごとをしている』
これが、DMN。
「ああでもない、こうでもない」と、私たちの知らないところで、脳は考えごとをしているのです。
で、「やり残しがある状態」「心に引っかかりがある状態」だと、このDMNが活性化してしまう。
心の引っかかりを解決しようと、脳がグルグルグルグル考えてしまう。
なので、DMNは「アイディアやひらめきの元」でもあるのですが…
でもやっぱり、寝ている間、ずーっと脳が回転していたら、たっぷり寝ても「頭が疲れ」が取れないというわけです。
DMNの活性で、脳がこんなにも疲れる!
では、DMNで、脳がどれほど疲れるのか?
これが凄いんです!
人間の脳は、体重の約2%
その脳が、体が消費する全エネルギーの20%も使ってしまう。
さらに!
脳が消費するエネルギーの60%~80%は、DMNによって消費されると言われています。
つまり、1日の消費カロリーが1500キロカロリーとすると…
脳が使うのは、300キロカロリー。
そのうち、200キロカロリーがDMNに使われる。
200キロカロリーというと、「腕立て伏せ」にして約30分。
やり残しがある状態て眠ると、このDMNがさらに活性化してしまうわけですから、疲れがとれるはずがないですよね。
ちなみに、「不眠症の人ほど、DMNの活性度が高い」ということも研究でわかっています。
睡眠中のDMNの活性を抑えるには?
では、睡眠中のDMNの活性を抑えるには、どうしたらいいのか?
一番いいのは、「やりきった感を感じて眠る」こと。
「全部やり終えたぞ!今日もよく頑張ったなぁ」というように、達成感があれば、DMNがおとなしくなります。
そのための良い方法があるので、ご紹介しておきますね。
やり方は簡単で…
「今日はここまでやる」という基準を自分の中でつくる
例えば、会社である程度仕事を任されている人なら…
「企画書を完成させる」「電話で3件アポイントを取る」とか。
そうでない人でも…
- 歯医者
- 銀行
- ウォーキング
- 換気扇の掃除
- 実家に電話
- 子供とゲーム
- 本を10ページ読む
休日なら…
- 床屋
- 洗車
- カラオケ
- 気になっていたラーメン屋にいく
どんなことでもOKですが…
「今日はこれをやる」ということを、できれば3つ、「朝、紙に書く」。
そして、終わったものは消していく。
寝る前には、「今日もよくがんばったな」「全部終わらせたぞ」と達成感を味わいながら眠りにつく。
すると、脳が「全部終わったんだ」とカン違いして、DMNの活性化がおさまるというわけです。
ちなみに僕の場合は、やり方をちょっとアレンジして…
3つではなく、2つ決めるようにしています。
メインの仕事が1つと、メインの遊びが1つ。
たとえば、「YouTubeの編集」と「日帰り温泉」というように。
これを、毎朝ホワイトボードに書いて…
それを夜に消しながら、「今日も充実してたなぁ」と達成感を味わう。
そうやって、「一日の終わりの合図」を脳に送っています。
それから、「やり遂げたぞ!」という感覚は、なにより気持ちがいいし、それを毎日積み重ねれば自信にもつながりますからね。
一石二鳥になると思いますよ。
②「心配事」があると、脳の疲れがとれない
つづいて、脳の休息を妨げる2つ目の原因は、『心配事』。
ここまでご覧の方には話が早いのですが…
心配事とは、DMNの暴走。
活性化より、もっとひどい状態。
無意識の領域だけでなく、意識の領域にまでDMNが侵入してくる。
それが、心配事です。
心理学ではこれを「自動思考」といいますが…
「考えても仕方がない」と分かっているのに、頭が勝手に考えてしまうとか、「悪い夢ばかり見てしまう」という状態ですね。
DMNの暴走を止めるには?
では、DMNの暴走を止めるには、どうしたらいいのか?
実はこれ、一番効果の高い方法は、お酒。
嫌なことを忘れる一番の特効薬は、アルコールと言われています。
でも、この方法は絶対おすすめできない!
というのは、嫌なことを忘れるためにアルコールをつかうと、脳の「嫌なことを忘れる機能」が衰えてしまうのです。
そうなると、うつ病やアルコール依存症へと一直線ですからね。
では、どうしたらいいのか?
いい方法があるんです!
それは、エクスプレッシブ・ライティング。
非常に効果の高い心理療法の一つですが、やり方は簡単。
「心のモヤモヤを紙に書き出す」
書き方にはコツがあって…
たとえば、「娘の大学受験のことが心配」というような、簡単な書き方ではダメ。
もっと具体的に、心の声を書く。
「もしも花子が志望校に合格できなかったら、どうしよう?」
「受験の日に体調が悪くなったりしないかな?」
「受験がダメなら花子は落ち込むだろうなぁ。どうやって励ましたらいいんだろう?」
「最悪、一つも合格できなかったら、どうするのかな?浪人するのかな?予備校に行くのかな?」
「ところで、予備校の学費はいくらかかるのだろう?」
このようにね、もう出なくなるまで、心のモヤモヤを全部吐き出す。
5分くらいはかかると思います。
これが終わると、「すこしスッキリした気分」になると思いますが、それは、心のデトックスが完了した証拠。
同時に、DMNの暴走もおさまっているはずです。
このエクスプレッシブ・ライティング、残念なことが1つだけあって…
それは、やる人が少ない。
紙に書くのが面倒だからだと思うのですが、やり方を知っているのに、やらない人がとても多い。
抜群の効果があるのに、もったいないですよね。
とくに心配性の方や、悩みを抱えている方には効果テキメンですので、ぜひ実践して、グッスリと深い眠りを手に入れてくださいね。
③「休憩不足」だと、脳の疲れがとれない
脳の休息を妨げる3つ目の原因は、『休憩不足』。
これは文字どおり、休憩が足りていないということです。
脳にとって、こまめな休憩というのは、ホント大事!
同じ臓器である「心臓」をみると分かりやすいのですが…
なぜ、心臓は一生動きつづけることができるのか?
そのわけは、こまめに休憩しているから。
「ドックン→休憩→ドックン→休憩」というように、1日15時間以上は休憩している。
だから、一生動き続けることができるわけです。
ところが、ひとたび全速力でダッシュすると、1分ももたない。
丈夫な心臓ですら、休憩なしでは、あっという間に壊れてしまうのです。
脳も、心臓とおなじで、こまめな休憩がとても大事。
たとえば、家族旅行の帰りに、5時間ぶっ通しで高速道路を走ったりすると…
次の朝、頭が重くてなかなか起き上がれない。
そんな経験をした方も少なくないと思います。
あの疲れは、「旅行の疲れ」ではなく、「休憩不足の疲れ」。
車はオーバーヒートしなくても、脳はすぐにオーバーヒートしてしまいます。
1時間おきにパーキングで休憩すれば、そんなことにはならなかったはずです。
デスクワークは要注意!
それから、デスクワークの方は、とくに要注意。
脳疲労は、肉体疲労と違って、ハッキリとした疲労感を感じませんからね。
ついつい、2時間・3時間と集中してしまいがち。
すると、脳がグッタリと疲れてしまう。
その結果、8時間程度の睡眠では、脳疲労がとれないというわけです。
「こまめに休憩」とは、どのくらい?
では、どのくらいこまめに休憩をとるのがいいのか?
これは、個人差もあるし、作業の種類によっても違ってくると思いますが…
基本は、「疲れを感じる前に休む」。
ただ、これだと曖昧なので、有名なテクニックを1つご紹介しますね。
ポモドーロ・テクニック。
やり方はシンプルで、「25分集中→5分休憩→25分集中→5分休憩」をくり返す。
これだけ。
休憩中は、トイレに行くとか、お茶を入れるとか、何でもいいのですが…
脳の疲れが早くとれる「おすすめの休憩法」も、2つご紹介しておきますね。
脳の疲れがとれる2つの休憩法
1つ目の休憩法は、「アクティブレスト」。
これは、運動のこと。
「スクワット」「階段の上がり下がり」「ストレッチ」など。
体を動かしているときに、脳は休憩します。
また、運動をすると血流が上がって、脳にたっぷり酸素が運ばれますからね。
短時間の休憩で、脳の疲れを一気に回復できるというわけです。
2つ目の休憩法は、「目をつぶる」。
脳が処理する情報のほとんどは、「目からの情報」と言われています。
ですので、1・2分のあいだ目をつぶるだけで、充分脳の休息になります。
これ逆から言うと…
「休憩中のスマホ」は、脳にとって最悪ということですね。
まとめ
脳の眠りをさまげる主な原因と対処法は、以下の通り。
①やり残し……「今日はここまでやる」という基準をつくる
②心配事……エクスプレッシブ・ライティング
③休憩不足……ポモドーロ・テクニック(アクティブレスト・目をつぶる)
朝からスッキリ目覚めて、脳のコンディションがばっちりであれば…
頭の回転がはやくなるだけではなく、やる気も満ちてきます。
ストレスも少なくなり、すがすがしい毎日を過ごせるはずです。
いい人生は、いい睡眠から。
思い当たる方は、ぜひ実践して、スッキリとした朝の目覚めを手に入れてくださいね。
☆☆☆
以上、目覚めスッキリ!疲れを明日に残さない「脳疲労」の心理学でした。
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