「宝くじが当たれば幸せになれる」
「結婚すれば幸せになれる」
「マイホームを建てれば幸せになれる」
このような考えは、科学的には大間違いなのだそうです。
では、幸せな人生を送るには、どうしたら良いのでしょうか?
そこで今回は、科学が証明した「幸せな人生」を送るための5つの条件をご紹介させていただきます。
「幸せの鍵」は、遠いどこかにあるわけではなく、手の届くところに既にあります。
幸せの扉を開けるかどうかは、あなた次第です。
本当の「幸せな人生」とは?
「幸せな人生」ときいて、皆さんはどのような生活を思い浮かべますか?
ぼくが子どもの頃は、「お金があって、健康で、いい家に住み、素敵な人と結婚し、地位が上がり、たまに海外旅行へ行けるような生活」が幸せな人生だと思っていました。
ところが科学では、このような考え方を全面的に否定します。
たとえば、「お金」。
お金で不自由しない生活といえば、「宝くじの高額当選」を真っ先に思いうかべます。
では、宝くじが当たれば、幸せな人生を送れるのかというと、実はそうでもないようです。
ある研究では、宝くじに当たった人たちと、そうでない人たちを追跡調査した結果、「幸福度はほぼ同じ」だったそうです。
では、「健康」はどうでしょうか?
不慮の事故で「体が不自由」になった人たちを研究した結果、なんと!幸福度は「健康な人とほぼ同じ」だったそうです。
幸運も不幸も、永遠ではなく、一時的なもの。
時が経てば、自分に起きたことに次第に慣れていき、やがて「普通」に戻っていくというわけです。
お風呂の湯とおなじで、だんだん慣れてしまうのですね。
では、「いい家に住む」と幸福度は上がるのでょうか?
下のグラフをご覧ください。
これは、新しい家に引越したときの「幸福度」と「家の満足度」をグラフにしたものです。
引っ越すと同時に「家の満足度」はガーンと上がっているのに対し、「幸福度」の方はほとんど変化がありません。
少しくらい幸福度が上がってもいいはずなのに、一体どういうことでしょうか?
キャンプを思い浮かべると、わかりやすいかもしれません。
「やっと炭に火がついた」「肉をうまく焼けた」というような喜びは、不便な環境だからこそ味わえるもの。
便利な家に暮らすと、このような「小さな喜び」を失ってしまうのです。
たとえば、床暖房があればコタツが不要になりますが、「コタツでミカンを食べる」という喜びは消えてしまいます。
部屋がたくさんあればプライバシーは守られますが、家族団らんを楽しむ時間が減ってしまいます。
その結果、家が便利になっても、幸福度はほとんど変わらないというわけです。
では、「結婚する」と幸福度は上がるのでょうか?
これは、結婚前後の女性の人生満足度グラフです。
たしかに、結婚前後は満足度が上昇しています。
しかし、結婚4年を過ぎると、結婚前より満足度は下がっているのがわかります。
グラフはあくまでも平均値ですが、「結婚」と「幸せな人生」はあまり関係ないと言えそうです。
では、夫と死別したら、幸福度はどう変わるのでしょうか?
夫が亡くなる前後は、「不幸のどん底」と言ってもいいかもしれません。
ところが驚くことに、死後2年が過ぎると、結婚生活を送っていた頃よりも人生満足度が上がっています。
ここからも、「結婚イコール幸せ」ではないということが分かります。
ここまで見てきて、「お金・健康・家・結婚などでは、一時的な喜びはあっても、人生の幸福度は上がらない」ということが分かりました。
では、「幸せな人生」を送るためには、なにが必要なのでしょうか?
大切なのは「主観的な幸福」
お金・健康・家・結婚・地位など、他人と比較できる幸せを「客観的な幸福」と呼ぶそうです。
いわゆる「平均値との比較」ですね。
・世の中の平均値以下なら、不幸に感じる
・世の中の平均値以上なら、幸福に感じる
このような考え方をしているかぎり、本当の意味での「幸せな人生」は手に入らないということです。
では、幸せな人生を送るためには何が必要かというと、「主観的な幸福」。
主観的な幸福とは、「私は素晴らしい人生を送っている」としみじみ思えることです。
主観的な幸福は、人それぞれ違います。
ただ、「主観的な幸福」を上げるのに最低限必要な必須項目がいくつかあります。
というわけで、ここからがこの記事の本題。
前置きが長くて、ごめんなさい。
幸せな人生を送るための「5つの条件」
体の健康に「5大・栄養素」が必要なように、人生の幸福にも「5大・幸福素」が必要です。
それを1つずつ簡潔にお伝えしていきます。
「私に足りていないものはあるかな?」という気持ちで読んでいくと、頭に入りやすいと思いますよ。
いちばん大切なのは「人との結びつき」
ポジティブ心理学に、おもしろい研究があります。
①幸福度の高い人たちを集めて「幸せの共通点」は何なのかを調べた
②ところが、みんなバラバラ。アウトドア派もいればインドア派はもいる。宗教心の強い人もいれば無宗教の人もいる
③徹底的に調べた結果、たった1つだけ共通点が見つかった
幸福度が高い人の、たった1つの共通点とは…
「人との結びつき」が強かったこと
家族や親戚・知人・友人らと、良好な関係を築いていたことでした。
言い方を変えると、「雑談が多い人ほど、幸福度が高くなる」と言ってもいいかもしれません。
これを聞いて、「私は内向的だから、雑談をすると逆にストレスになる」と思った方もいるのではないでしょうか。
実は、それを裏切るような実験もあります。
●コーヒーショップの内向的な店員に、「お客さんと笑顔で短い会話を交わすようにしてください」とお願いした。
その結果、内向的な店員の「幸福度」はどう変わっていったのか?
やはり、お客さんと会話を交わすようになってから、グンと幸福度が上がっていきました。
どんな人であろうとも、「ワイワイと雑談することで幸福度が上がる」ということが証明されたのです。
みなさんも、このような経験はありませんか?
「旅館の店員さんとあれこれ雑談をしたら、その後の旅館の居心地が良くなった」みたいなことが。
旅館だけでなく、人生全般においても、これと同じ現象が起こるのです。
POINT①雑談をふやして、人との結びつきを深めよう!
「物」よりも「経験」にお金をつかう
2つ目は、「お金の使い方」。
ファイナンシャル・プランナーであれば、「サーフィンで年間100万円もつかうのなら、土地付き一戸建てを買ったほうが賢いですよ」と勧めるかもしれません。
ところが、幸せの研究者たちは、真逆の考え方をします。
「4000万円の新築を買うのなら、中古の2500万円に落として、残った1500万円でサーフィンを楽しんだほうが賢いですよ」と。
なぜなら、「物」よりも「経験」にお金をつかうほうが幸せな人生になるということが、さまざまな研究で証明されているからです。
先のファイナンシャル・プランナーが勧めるようにすれば、将来的にはお金に余裕ができて、「楽な生活」が待っているかもしれません。
「楽な生活」を望むのなら、それが一番いいでしょう。
ただ、ここで気をつけたいのは、「楽な生活」と「幸せな生活」は似て非なるものということです。
もしも、富士山の頂上までタクシーでいけるとしたら、そこから見る朝日に感動できるでしょうか?
たしかに「楽な旅」にはなるけれど、どこかむなしさを感じるのではないでしょうか。
それよりも、肌で空気を感じながら自分の足でのぼり、笑いあり、苦労あり、ハプニングありのほうが幸せを感じられるはずです。
人生も同じこと。
お金で「物」を買えば、「楽な生活」が手に入るかもしれません。
しかし、そこには「人生の本当の喜び」が含まれていないのです。
人生の本当の喜びは、「物」ではなく「経験」の中にあります。
趣味・旅行・スポーツ・習い事・バーベキュー・四国のお遍路さんなどなど、「経験」はどんなことでも構いません。
経験を充実させていくことが、幸せな人生を送る一つの秘訣です。
POINT②贅沢品を買うよりも、経験にお金をつかおう!
感謝で「小さな幸せを見つけられる脳」をつくる
アメリカの大学の研究で、学生たちに「感謝日記」をお願いしました。
感謝日記とは、「どんな小さなことでもいいから、感謝できることを毎日書く」というもの。
「親への感謝」「朝、目が覚めたこと」「ロックバンドの曲」「健康のこと」など、いろんな感謝が書かれていたそうです。
この感謝日記を10週間つづけた結果、学生たちの幸福度は劇的に上がりました。
感謝日記によって、学生たちに一体何が起きたのでしょうか?
それは、「脳の変化」。
毎日感謝をつづけていると、「小さな幸せを見つける思考回路」が脳内につくられます。
これを「脳の可塑性」といいます。
反対に、感謝のない毎日を送っていると、「小さな幸せを見つける思考回路」が退化して、感謝するのがヘタになります。
たとえば、感謝の苦手な人は、「牛丼屋で370円出せば、牛丼が出てくるのが当たり前」と思ってしまう。
さらに、出てくるのがちょっと遅いと、「まだかよ!」という文句が出てきてしまいます。
一方、感謝の上手い人は、「牛丼を一から自分で作ったら、牛を育てたり稲作したり、いろいろ大変だろうな。370円なんてホント奇跡だよ」と牛丼一杯にも感謝できる。
だから、出てくるのがちょっと遅くても、文句の言葉は出てきません。
このような「小さな幸せの積みかさね」が、幸せな人生を形づくるのです。
「小さな幸せを見つける思考回路」をつくるには、毎日の感謝が大事。
そのために、感謝日記を書く必要はないと思います。
「ありがたい、ありがたい」という気持ちで日々生活していれば、感謝脳ができてきて、小さな幸せを見つけるのがみるみる上手くなると思いますよ。
POINT③些細なことにも感謝して、「小さな幸せを見つける思考回路」をつくろう!
人に親切にして「与える喜び」を思いだす
ある大学で、こんな実験がおこなわれました。
学生たちに20ドルを渡し、次のようにお願いをしました。
・Aグループには「自分のために使ってください」
・Bグループには「人のために使ってください」
その結果、人のために使ったBグループのほうが、はるかに幸福度が上がっていました。
当然といえば、当然の結果ですね。
プレゼントやサプライズも、「される人」より「する人」の方がうれしいものです。
奈良公園で鹿にせんべいをあげている観光客も、みんな満面の笑みを浮かべています。
人には「与える喜び」という強い本能が備わっている。
このことは、みなさんも体感的に知っていると思います。
ところが、一日を振りかえってみると、どうでしょう?
ほとんどの行動が「自分のため」のもので、「人のための行動」は意外と少ないのではないでしょうか。
これが、現代人の「幸福度の低さ」につながっていると言われています。
「与える喜び」を感じるためにできることは、ただ一つ。
親切です。
ただ、親切をするにも、1つだけ条件があります。
アメリカの心理学者が発見したことですが、「1日に1つだけの親切」では幸福度に変化がないそうです。
ところが、「1日に5つの親切」をすると、幸福度がグンと上がるそうです。
つまり、「小さなことでいいので、数多くの親切をする」ことが幸福度を上げるための条件。
・ドアを開けておいてあげる
・家族にアイスクリームを買って帰る
・エレベーターで「何階ですか?」と聞く
・落ちている空き缶をゴミ箱に入れる
・スーパーの募金箱に1円入れる
・コンビニで賞味期限の古いほうから買う
・電車で席をゆずる
・ご近所さんに笑顔であいさつする
・飲食店で「おいしかったですよ」と言う
などなど。
親切な行動をふやして、「与える喜び」を感じながら生活する。
これが、幸せな人生を送るための4つ目の条件です。
POINT④小さな親切をたくさんしよう!
仕事によろこびを感じられる人は、人生も幸せ
最後の5つ目の条件は、「仕事」。
生活の中心にあるものは、仕事です。
もしも、仕事が「つまらない」ものであれば、人生全体が灰色になってしまいます。
とは言っても、仕事によろこびを感じることは、なかなか難しいですよね。
でも、方法がないわけではありません。
イェール大学のレズネスキーさんは、仕事のやり方は3つに分類できるといいます。
「ジョブ」「キャリア」「コーリング」
わかりやすく「ラーメン屋」で例えると…
・「お金を稼ぐためにラーメンを売る」というのが、ジョブ
・「もっと店舗数をふやすぞ!」というのが、キャリア
・「ラーメンで人を幸せにするぞ!」というのが、コーリング
「ジョブ」で仕事をしている人がトイレ掃除をしたら、きっと「めんどくさいなぁ」という気持ちが湧いてくるでしょう。
一方、「コーリング」で仕事をしている人なら、お客様の笑顔を想像して「もっとピカピカにするぞ!」という気持ちになれるはずです。
「ジョブ」で仕事をするか、「コーリング」で仕事をするかで、作業に対する思いがぜんぜん違ってくるのです。
ほとんどすべての仕事は、「人を笑顔にする」ことにつながっています。
お医者さんも、車の部品をつくる人も、トイレ掃除をする人も、最終的には「人を笑顔にする」のが仕事です。
「その笑顔をありありと想像する」ことが、仕事をコーリング化するためのポイント。
「コーリング」で仕事ができれば、やりがいが生まれ、自尊心も高まり、仕事に対する思いがぜんぜん違ってくると思いますよ。
POINT⑤自分の仕事の先にある「みんなの笑顔」を想像しながら仕事をしよう!
まとめ
幸せな人生を送るための「5つの条件」を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
お伝えしました5つが、「私は素晴らしい人生を送っている」としみじみ思えるための必須項目。
ハードルが高い気もしますが、一つずつ気長に取り組めば、そんなに難しくはないと思います。
幸福度が上がれば、毎日が充実するだけでなく、病気にかかりにくくなるそうです。
また、寿命が伸びることも、科学的に証明されています。
幸せになって損することは、何一つないのです。
最後にポイントだけ、まとめておきます。
もしも、「自分にはこれが足りないな」というものがありましたら、ぜひ今日から実践してみて下さいね。
きっと楽しい努力になると思いますよ。
①雑談をふやして、人との結びつきを深めよう!
②贅沢品を買うよりも、経験にお金をつかおう!
③些細なことにも感謝して、「小さな幸せを見つける思考回路」をつくろう!
④小さな親切をたくさんしよう!
⑤自分の仕事の先にある「みんなの笑顔」を想像しながら仕事をしよう!
☆☆☆
以上、科学が証明した!幸せな人生を送るための5つの条件でした。
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