「お母さん、ちょっと聞いて」と、子どもが青い顔をして悩みを語りはじめる。
そんな突然の出来事が起こると、頭がパニクッてしまいます。
「どうやって話を聞いたらいいのだろう?」
「わたしは何と答えたらいいのだろう?」
悩みを聞くって、意外と難しいですよね。
そこで今回は、子どもの悩みの上手な聞き方をご紹介させていただきます。
悩みの聞き方には、一定のパターンがあります。
ベストな聞き方を頭に入れておけば、きっと子どものチカラになれるはずです。
子どもの心の最後の砦は、お母さん。
頼りがいのあるお母さんがいれば、子どもの未来も変わってくるでしょう。
子どもの悩みの上手な聞き方
①上手な悩みの聞き方
②話を聞きだす6つのスキル
③やってはいけない3つのこと
④聞く姿勢
この順番でお伝えいたします。
文章が長くならないよう、内容を簡潔にまとめています。
すべてが大切な内容ですので、ナメるようにじっくり読んでくださいね。
①上手な悩みの聞き方
子供の悩みの聞き方を、一言でいうと…
「とにかく、子どもにしゃべらせる」こと。
たくさん話すと、頭が整理されます
↓↓↓
頭が整理されると、心がスッキリします
(カタルシス効果)
↓↓↓
心がスッキリすると、解決法が見えてきます
(来談者中心療法)
たくさん話すうちに、子どもが自分自身で解決法を思いつく。
これが、理想の悩みの聞き方です。
そのために必要なことは…
・話しやすい雰囲気づくり
・うまく話を聞きだす
・元気をあたえる声かけ
・子どものペースで進める
・お母さんが解決しようとしない
これが、「子供の悩みの上手な聞き方」の概要です。
決して、難しいことではありません。
お母さんがすべきことは、問題を解決することではなく、子どもにたくさんしゃべらせること。
それを頭に置いて、具体的な方法を見ていきましょう。
②話を聞きだす6つのスキル
人に悩みを打ち明けることは、大人でも勇気のいること。
子どもなら、なおさらです。
お母さんは、子どもが話をしやすいように、うまく話を聞きだしてあげる必要があります。
そのためのスキルを6つご紹介させていただきます。
「そのとき、どんな気持ちだった?」と感情を聞く
子どもの悩みを聞きだすときは、「話の筋道」よりも、「子どもの感情」を中心に話を進めるのが基本です。
「ショックだった?」
「びっくりしたでしょう?」
「悔しかったんじゃない?」
「ちょっと悲しいよね?」
「怖くなかった?」
子どもは、そのときの「感情」を思い出すと、そのときの「光景」までありありと思い出します。
すると、自然と口かずが多くなるもの。
ときには、感情が高ぶって泣きだす子もいるでしょう。
それもまた、大切なこと。
心の奥に封じ込めていた感情を吐き出すことで、元気になれるのです。
それだけではありません。
感情を表に出すと、”本来の自分”を思い出します。
”我慢している自分”から、”本来の自分”へと戻れるのです。
すると、理想と現実のギャップがみえてくる。
「本当はこうしたい!」という理想の形が見えてきて、それが解決法につながったりします。
子どもが悩みを語るときは、たいてい「筋道」だけを話します。
「最近、次郎君がぼくの机に落書きをしたり、靴を隠したりするんだ」といった具合に。
その要所要所で、「どんな気持ちだっだか」を聞いていくこと。
これは、とても大切なポイントです。
POINT「感情」を中心に話をすすめる。
すると子どもは、口かずが多くなり、元気になり、本来の自分を取りもどし、解決法がみえてくる。
「オウム返し」で、こころに寄り添う
「子どもの感情」をオウム返しすると、その子は安心して話を進めることができます。
「ツラかった」⇒「ツラかったよね~」
「ショックだった」⇒「ショックたったよね~」
オウム返しは、カウンセラーもテレビ司会者も活用している、聞くための基本テクニック。
あらゆる場面で使えます。
「昨日の朝のことなんだけど…」⇒「昨日の朝」
「遠足に行ったときも、やられた」⇒「遠足に行ったときも、やられたんだ~」
子どもは、「自分の言葉」をもう一度耳から聞くことで、頭が整理されてとても話しやすくなります。
また、「ちゃんと話を聞いてくれている」という気持ちになり、二人の間に一体感が生まれます。
聞く側も、オウム返しをするだけだから、聞くことに集中できます。
たかがオウム返しですが、オウム返しの凄さは、実際にやった人だけがわかります。
POINT「オウム返し」ひとつで…
・子どもの心に寄り添える
・話の流れがスムーズになる
・一体感が生まれる
・聞くことに集中できる
しっかりと相づちを打つ
子どもが話しているときは、途中で口出しをしないで、最後まで聞いてあげることが大事。
そのときに、お母さんができることはオウム返し。
そして、相づちです。
●「うんうん」といううなずき
●「なるほど」という納得
●「へー」という驚き
この3つが基本。
「うなずき」は、言葉を飲み込むように大きくうなずくのがコツです。
POINT相づちを打ちながら、最後までしっかり話を聞く
元気をあたえる声かけ
悩みを相談する子のほとんどは、心のエネルギーが不足ぎみ。
お母さんが元気を与えてあげることで、話すチカラを取り戻します。
そのために、まず出来ることは「相談してくれた勇気をたたえる」こと。
「よくお母さんに相談してくれたね。勇気があるね」
そう言ってもらえるだけで、子どもは「相談して良かった!」と明るくなります。
他にも…
「がんばってきたんだね」
「がんばってるね」
「あなたは間違ってないわ」
「あなたは立派よ」
悩みを抱えながらも、今までがんばってきたことを認めてあげる。
すると子どもは、徐々にエネルギーを取り戻します。
ただ、1つだけ気を付けていただきたいのが、「がんばってね」という言葉。
「がんばってね」は、子どもの心に負担をかけます。これだけは禁句です。
POINT元気をあたえる声かけで、子どものエネルギーが回復する
「どうしたい?」で解決策がみえてくる
ひと通り「現状」の話を聞いたら…
次は、「どうしたい?」と尋ねてみる。
すると…
「本当は仲直りしたい」
「イジメてきたら、ちゃんと言い返したい!」
などと答えてくれる。
それが、本人にとっての「理想の形」。
それに向かって、一緒に解決策を考えていけばいいわけです。
しかし、「どうしたい?」と尋ねても、黙り込んでしまう子も少なくありません。
でも、それはそれでOK。
脳が勝手に、「どうしたい?」を考えはじめるからです。
その答えがでるのが、3日後なのか、1カ月後なのかは分かりません。
それでも、待つことが大事。
大切なのは、お母さんが「今日解決してあげよう」と焦らないことです。
POINT「どうしたい?」と尋ねれば、理想の形がみえてくる
沈黙は、大切な時間
「お母さん、ちょっと話をきいて…」と言ったにもかかわらず、そのまま黙り込んでしまう子もいます。
もしくは、話の途中で急に黙り込んでしまう子もいます。
黙り込んでしまう理由は、「思いを言葉にする覚悟」がまだ出来ていないから。
「これは言いたくない。あれを言うと何と思われるだろう?」と、あれこれ必死に考えているのです。
間違っても、「さっさと言いなさい」などと言ってはいけません。
焦らせると、子どもは完全に口を閉じてしまいます。
そんなときは、子どもの覚悟ができるまで待ってあげることが大事。
ただただ、待ってあげることです。
しかし、5分10分と沈黙が続くと、お互いにツラくなります。
そんなときは、「感情」を尋ねてみるのがベスト。
「悩んでるんじゃない?」
「悲しかったんじゃない?」
そこで「うん、悩んでる」と答えてくれたら、「悩んでるんだ」とオウム返しする。
それがきっかけで、話が再開することも多いものです。
場合によっては、沈黙したまま「もういい」と自分の部屋に帰ってしまう子もいることでしょう。
でも、それはそれでOKです。
大切なのは、お母さんが「今日解決してあげよう」と焦らないことです。
POINT「沈黙」という時間を大切にする
☆☆
ここまでは「話を聞きだす6つのスキル」でした。
つづいて「やってはいけない3つのこと」です。
③やってはいけない3つのこと
「でも」「だけど」で否定しない
悩みを聞くなかで、一番やってはいけないこと。
それは、子どもの話を否定することです。
「でも、それはあなたがいけないのよ」
「だけど、相手の気持ちもよく考えてみて」
このように否定されると、子どもは心を閉ざしてしまいます。
たとえ、子どもの言い分が間違っていると思っても、絶対に否定しない。
なかなか難しいことですが、とても大切なことです。
「もしかしたら、僕のほうが間違っていたのかも」というのは、自分で気付いてこそ意味があるもの。
親に押し付けられたら、素直に反省できないのです。
「どんな事があろうとも、お母さんはあなたの味方よ」という姿勢を見せることが肝心です。
POINT子どもの話は、絶対に否定しない
「~しなさい」はダメ
「お友達に、正直に謝りなさい」
「ちゃんと、嫌なものは嫌と言いなさい」
「もうちょっとだけ、がんばってみなさい」
このような「~しなさい」「~してみなさい」という命令形もダメ。
子どもは、それが出来ないから困っているのです。
「○○しなさい」と言われると、子どもは「○○しなかった僕が悪いんだ」と思います。
自分を責めてしまい、ますます落ち込んでしまうかもしれません。
大切なのは、悩みを打ち明けるうちに、子どもにエネルギーが湧いてきて、自分で解決策を思い付くこと。
「これだったら出来るかなぁ」と思ったものが、その子にとっての一番の解決策。
しつこくて申し訳ありませんが…
お母さんがすべきことは、問題を解決することではなく、子どもにたくさんしゃべらせることです。
POINT「~しなさい」という提案は、失敗のもと
いきなり「どうしたらいい?」とアドバイスを求められたら…
「次郎君がイジメてくるんだけど、どうしたらいい?」
このように、いきなりアドバイスを求められるケースもあると思います。
そんなときは…
「もう少し詳しく話を聞かせて」
たとえ、いいアドバイスがあったとしても、まずは我慢。
あたかも「自分で気付いた」かのように、話の流れをもっていったほうが賢明です。
もしも、お母さんのアドバイスで上手くいったら、子どもは「他人に依存するような性格」になってしまう恐れがあります。
自分で解決する力を失ってしまうのです。
アドバイスを求められたときは、「お母さんも応援するから、一緒に考えよう」というスタンスが大事。
本当にしつこくて申し訳ありませんが…
お母さんがすべきことは、問題を解決することではなく、子どもにたくさんしゃべらせることです。
POINTいきなりアドバイスはしない
④聞く姿勢
ここまでで、ほとんどの事はお伝えしました。
最後に「聞く姿勢」を2つお伝えして、終わりです。
「子どもの鏡」になって聞く
子どもの悩みを聞くときは、「子どもの鏡」になったように聞くのが基本。
具体的には…
・子どもが正座なら、自分も正座する
・子どもがダラけた姿勢なら、自分もダラける
・子どもの声が暗かったら、自分も暗く話す
・子どもがハイテンションなら、自分もハイテンションになる
・子どもが笑ったら、自分も笑う
お母さんが同じ波長をだと、子どもは安心して話ができます。
反対に、お母さんと波長が合わなければ、子どもは話しづらくなります。
POINT子どもの鏡になろう
秘密は守る
「秘密は守るから、何でも話してね」
そう言ってあげると、子どもは格段に話しやすくなります。
ただ、「秘密は守る」と宣言した以上、絶対に秘密を守らなければなりません。
父親や先生であっても、子どもの許可無しで話してはいけません。
たとえ、「秘密は守る」と宣言しなかったとしても、秘密厳守。
勝手に人に話すと、お母さんの信用はガタ落ちです。
POINT秘密は絶対に守る
まとめ
長い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
最後に「重要なポイント」だけを、5つにまとめておきます。
一度読んでくださった方は、ここを見るだけで、だいたい思い出せると思いますよ。
●子どもにたくさんしゃべらせると、エネルギーが湧いてきて、自分で解決策を思いつく
●「感情」を中心に話をすると、話が進み、子どもも元気になる
●「子どもの鏡」になり、オウム返しと相づちで、最後までじっくり聞く
●子どもの話は否定しない。認めてあげて元気づける
●アドバイスはしない。一緒に解決策を考える
☆☆☆
以上、子どもの悩みの聞き方|どう聞くのがベストなのか?でした。
●こんな記事もありますよ