トラウマ克服法
「嫌な過去を、忘れてしまいたい!」
そう思えば思うほど、記憶がよみがえり辛くなってしまう。
いわゆる『トラウマ』に苦しんでいる人も少なくないと思います。
そこで今回は、忘れたいときに役立つ『記憶の心理学』についてお話させていただきます。
「忘れたい!」は逆効果
「忘れたいのに忘れられない」
「トラウマを消してしまいたい」
実は…
「忘れよう!と思えば思うほど、忘れられない」というのが心理学の常識です。
そのことをわかりやすく証明したのが『ウェグナーのシロクマ実験』。
この実験でわかったのは、脳のヘソ曲がりな一面です。
ウェグナーのシロクマ実験
『シロクマ実験』は、アメリカのウェグナーという心理学者が1987年に行なったものです。
『ウェグナーのシロクマ実験』
ウェグナーは、大勢の人を集めて『シロクマのビデオ』を見せました。
その人たちを、A・B・Cの3グループに分け、次のようにお願いをしました。
●Aグループ…「シロクマのことを覚えておいてください」
●Bグループ…「シロクマのことは絶対に考えないでください」
●Cグループ…「ご自由にどうぞ」
一年後、しっかりと内容を記憶していたグループは…
「シロクマのことは絶対に考えないでください」とお願いしたBグループだった!
「シロクマのことを覚えておいてください」 とお願いされたAグループの人たちは、記憶が薄くなっていたのです。
わたしたちの脳は、
- 記憶したくても、なかなか覚えられない
- 忘れようとすると、いつまでも引きずってしまう
という、へそ曲がりな性質があるのです。
忘れたい過去を、どうしたら忘れられるの?
「忘れたい!」と気張るほど忘れられないのが、私たちの脳。
では、どうすれば忘れられるのでしょうか?
いちばん効果的なのは…
吐き出すことです。
心の中にあるモヤモヤを、体外に吐き出してしまう。
具体的には、
『人に話す』とか『書き出す』ということです。
心のモヤモヤを表現して、外に吐き出してしまうことが、ツラい記憶の苦しみから逃れる一番の近道なのです。
なぜ、吐き出すといいのか?
心のモヤモヤを人に話したり、書き出したりすることで2つの効果が期待できます。
①カタルシス効果
②飽きる
①の「カタルシス効果」とは、
悲しいときに思いっきり泣いてスッキリしたり…
愚痴を話してスッキリしたり…
モヤモヤした感情を解放することで、気持ちが浄化されるというもの。
つまり、
イヤな過去を洗いざらい話してしまうことで、ツラさが解消され気分が楽になっていくわけです。
②の「飽きる」というのは、
美味しい食べ物でも…
好きな彼氏でも…
毎日一緒だと、飽きてきて興味が薄くなる。
そして「どうでもいいや」という気持ちになってしまいます。
悲しいことですが、これが私たちの脳の性質。
つまり、
ツラい過去の記憶も、繰り返し人に話したり、書き出したりすることで…
脳が飽きて「もう、どうでもいいや」という気持ちにさせてくれるのです。
『忘れる』ではなく、『気楽』になろう
何度も人に話すと、「忘れる」とは逆に、記憶に残ってしまいそうです。
が…
シロクマ実験でわかったように、記憶しようとするよりも、忘れようとした時の方が忘れにくい。
だから、どんどん人に話したほうが、ツラい記憶を引きずらなくて済むのです。
さらに、人に話せば…
『カタルシス効果』で気分が楽になり、
『飽きる効果』でどうでもよくなってくる。
古典的な方法に感じるかもしれませんが、とても即効性のある『トラウマ克服法』です。
『イヤな出来事を忘れたい!』とは考えず、どんどん吐き出して『どうでもいいこと』に変えてしまいましょう。
人に言えないのなら、書き出して捨てる
「こんなことは人に話せない」
「ペラペラと人に話したくない」
という場合は、紙とペンを用意して書き出して、グチャグチャに丸めて捨てる。
そうすることで、人に話すのと同じ効果が期待できます。
書き出すことは、面倒だし、馬鹿らしく感じるかもしれませんが…
だからこそ、脳はすぐに飽きてしまいます。
「もう、どうでもいいや」と思えるまで、毎日書き出して捨てる。
これは、カウンセリングの現場でも使われる、とても効果が高い方法です。
トラウマ克服法まとめ
心のモヤモヤは、頭の中で考えていると膨らんでいくばかり。
ところが、吐き出すことで『どうでもいいこと』に変わっていきます。
『イヤな記憶』はできるだけ早く吐き出してしまって、『過去の思い出』に変えてしまいましょう。
以上、『【忘れたいのに忘れられない…】トラウマ克服法』でした。